アウトドアの名著「遊歩大全」という分厚い本を先日読み終えました。
あとがきを含めると974ページもあるこの本を読み終えた感想と、実際どんな内容が書かれているのかをご紹介します。
遊歩大全とは
原題は「The New Complete Walker」
1974年にバックパッカー兼ライターのコリン・フレッチャーよってに書かれた「全米で圧倒的な支持を得たバックパッカーのバイブル。ウィルダネスを歩く技術と用具を集大成し、自然の中で生きる思想に踏み込んだ内容」と裏表紙に紹介されています。
日本にアウトドア文化を広めた編集者・グラフィックデザイナーの芦沢一洋氏が翻訳した本で、アウトドア雑誌の広告で見るたびにずっと気になっていました。
そして京極夏彦以来です。この分厚さ。
文庫本なのにハードカバーより持ち運びにくいという。
(京極夏彦と並べるともはや立方体に近い)
だけどがんばって通勤電車で読みました。
遊歩大全の概要
「なぜ歩くのか?」という序文が50ページほど続いたあとは「家を背負って」というこの本の大部分を締めるメインの章に続きます。最終章の「緑の世界を知る」は10ページほどで終わり、付録として「用具のチェックリスト」「用具、食料品の取扱店」「ウォーキングの推進組織」「瞑想的ウォーカーの名言集」「牽引」がついています。
800ページ以上続く「家を背負って」の章は、設計図、基礎、外壁、台所、寝室、衣装部屋、家具と寝具、家事その他、という項目に別れています。
たとえば「寝室」であればテントやマットレスの具体的なギアについて、事細かに使い方や感想の説明されているという感じで、(1970年代当時の)アウトドアに関わるほぼ全ての道具・装備を網羅しています。
時おりですが表紙にあるようなアメリカンでオシャレなイラストが入ります。
遊歩大全の感想
本屋さんでパラパラ立ち読みしてから買おうかと思っていたのですが、どこにも置いてなく、ほぼ事前情報がない中で読み始めました。
なかなかハードでした。(実際、僕も半年間ほど読みかけのまま放置してました。)
あたりまえなのですが情報が古くて、当時の聞いたことのないメーカーのアウトドアグッズの膨大なレビュー。そして昔の翻訳本にありがちな良く分らないアメリカンジョーク。膨大な注釈。
かなりマニアックなAMラジオの番組を延々と聴いているみたいな感覚でした。
、、だったのですが、ページを読み進めるほどに、読書自体がまるでロングトレイルをしているようなハイな気分になってきて、知らないブランドの当時のギアの解説の文字をたんたんと追いかけることが癒しに変わりました。
そして、ところどころにコリン・フレッチャーというベテラン老ハイカーの自然に対する当時の思想が挟み込まれていて、ヒッピーの時代の「Whole earth catalog(ホールアースカタログ)」などのアメリカの奔放な思想のテイストが少し味わえた気がします。
購入時に「新しいキャンプギアを買いました。」とインスタにアップしたのですが、意外にその通りだったなと読み終えた後思いました。
癒しの種類が、キャンプギアをいじっている時の脳波と同じでした。
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人によっては楽しめないかもしれない本(日常的に本を読んでない方は恐らく挫折します)ですが、読書好きかつアウトドア好きという器用な方は挑戦してみても良いかもしれないと思います。
文庫本なのに2,000円以上しますので、ある程度の覚悟を持ってですが。
書を捨てよ、町へでよう
昔読んだ寺山修司さんの本のタイトルなのですが、僕の場合は「そとあそび」をするために本を読み、スキルや思想的な部分を自分に落とし込んでから実践してみる。という順序が好きです。
そっちの方がより深く楽しめるような気がするからです。
そんな意味でも「In&Outdoor」というブログ名は、自分に合っているのではないかとあらためて思いました。
芦沢一洋さんのバックパッキング入門も今度読んでみよう。