どーも。サラリーマンキャンパーのCarlosです。
今、マタギブームが来ているんです。僕の中で。
実はマタギって、ブッシュクラフトやジビエ、トレッキングといったアウトドアのキーワードとの繋がりがかなりあるんです。
マタギに関する本をいろいろ読んでみたところ、いにしえから自然と向き合ってきたマタギの文化にとても感銘を受けた部分があり、ぜひ紹介したいと思いました。あわせて僕が参考にした本もご紹介します。
アウトドア好きにとっては、参考になる部分が多いのではないかと思いますし、キャンプの焚き火トークのネタなんかにもオススメです。
そもそもマタギとは?
東北地方を中心に、山岳地帯で狩猟を行い動物の毛皮や肉、熊の胆(薬としての需要があった)を獲ることを生業としていた人たちで、1,000年以上の歴史を持つといわれています。
マタギは命がけで狩猟を行うために、受け継がれてきた技術や伝統、自然に対する経験値がものすごく高いので、アウトドア好きの僕らが学ぶべきことは多いのです。
現在は昔のように毛皮や熊の胆の需要がなくなってしまったため、マタギで有名な阿仁町でも専業のマタギは残っておらず、農業や他の仕事をしながらシーズンに狩猟をする兼業のマタギがいるだけだそうです。
マタギという名前の由来
諸説ありですが、いろいろな説があって面白かったので紹介します。
・山を股にかけて(またいで)狩猟を行うから
・又木という名の先が二股になった木を使うから(蜂の巣探索や蛇をおさえる等に使用)
・アイヌで「猟」を意味する言葉にマタギという言葉があるから
・鬼より強いから「又鬼」とかいてマタギ
実際のマタギという名前の由来はわからないそうですが、アイヌとの繋がりの説は個人的に好きだったりします。
自然とともに生きるマタギの文化
サスティナブルなルール
一番感銘を受けたのは、自然を壊さないように道を選んで歩く、未来へ残すため必要以上に動物を殺さない、山菜やキノコも翌年以降に再び採れるように半分残して収穫するといったサスティナブルなルールを代々受け継いでいること。
また、マタギにとって熊は獲物でありながらも崇高な対象(神様からの贈り物)であるため、神に近い存在として扱われます。これはアイヌの風習にも近いものがあるようです。
このような自然や獲物たちを敬い将来も共存をしていこうという考え方はすばらしく、西洋的な楽しむためのスポーツハンティングとは真逆のものということが分ります。
(そもそも狩猟は生きるための手段として行われてきたものなので、スポーツハンティングの方が異質なのかもしれませんが。)
狩猟民族と農耕民族のルーツの違いなのかもしれませんが、動物の命をいただくということへの西洋文化との差って思っている以上に大きいのかもしれません。
マタギ勘定
解体した肉は集落で平等に分けられるそうです。
これは「マタギ勘定」と呼ばれていて、小さな共同体を守っていくために仲間同士で分け合うという相互扶助の精神が根付いています。
僕の知っているレベルではありますが、アイヌや、ネイティブアメリカンの思想と重なる部分があったり、また動物の解体の技術も昔クレージージャニーで見たモンゴルの狩猟民族と同じであったりして、人類が氷河期にアリューシャン列島からアメリカ大陸へ渡った頃の繋がりを感じてしまいます。
マタギに関するオススメの文献4冊
これまで書いた内容は、ほぼこの4冊の本から仕入れた情報です。もし興味のある方はぜひ読んでみて下さい。
『マタギ 矛盾なき労働と食文化』
マタギの聖地と言っても過言ではない秋田県の阿仁町(あにまち)のマタギの方々に同行取材を重ね、写真と共にマタギ文化をとてもわかりやすく伝えてくれます。
熊の解体のカラー写真がなかなかハードな本ですが、ナガサというナイフとナタのあいの子のような刃物で血をこぼさずに熊を捌く技術の高さにマタギの凄さを知ることができます。
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子供たちにその写真をみせるとギャーって驚いていました。
でも、よくよく考えれば、日常的に「おいしいおいしい」と食べている牛も豚も鶏もちゃんと同じように解体されているわけで、ただ消費者の目に触れないようにしているだけだということ、マタギは動物を敬って感謝して消費しているということは教えてあげました。
『マタギに学ぶ登山技術』
こちらも聖地である阿仁町のマタギの方々への同行取材をもとに書かれた本です。
マタギの歴史、マタギならではの疲れない山の歩き方、食事法などタイトルの通り登山目線からのマタギ文化とマタギの凄さを紹介してくれます。
ほかにもクマと遭遇、雪崩、カミナリのマタギならではの対処法、マタギ流のビバーク(野宿)の方法も劇画タッチのイラスト付きで書かれていて、とても勉強になりました。
また焚き火の技術もすごく、植物の種類に精通しているため雨の中でもマッチ一本で、あっという間に焚き火を起こしてしまうそうです。リスペクトしかないです。
『狩猟サバイバル』
サバイバル登山家の服部文祥さんの本で、彼が狩猟集団に混ぜてもらって本格的に狩猟を学んだ時のことが書かれています。
このひとのサバイバル登山(猟銃、ナイフ、調理道具、ロープといった最低限の道具だけで山を登り、食料は調味料と米のみ持参し、おかずはテンカラ釣りか猟銃で現地調達する。獲物が取れない日は野草やキノコでしのぐ。)というスタイルはとてもマタギのスタイルに近く、服部文祥さんもマタギ文化に影響を受けているのではないかと勝手に思ってます。
『ゴールデンカムイ』
ヤングジャンプでキングダムと人気を二分する漫画です。
日露戦争後の北海道を舞台に、主人公の元軍人、不死身の杉元とアイヌの少女アシリパがアイヌの金塊を求めて北海道・樺太を旅するというむちゃくちゃ面白い作品です。
主要人物の一人である谷垣源次郎は東北のマタギ出身の軍人、アイヌの狩猟文化とマタギの共通点などストーリーの中で教えてくれます。
僕の場合、服部文祥さんのサバイバル登山の本を読んでる時に、アニメのゴールデンカムイに谷垣源次郎が出てくるという2つのタッチポイントが僕のマタギブームのキッカケです。完全に。
まとめ
以上、アウトドア好きに知って欲しいマタギの文化と、マタギに関するオススメの本のご紹介でした。
猟銃の免許を取って鹿を捌いてというところを目指したいというわけではないのですが、いにしえから自然と向き合ってきたマタギのサスティナブルな文化には、アウトドアをやっていく一人として見習いたいこと、子供たちに教えたいことがたくさんありました。
みていただいた方のなんらかの参考や、良いブランドとの出会いになれば幸いです。